この記述は [10] を参考にした。
誤差関数 (error function) とは以下で定義される。
(D.1) |
同様に補誤差関数 (complementary error function) とは
(D.2) |
で与えられる。 誤差関数はその名や定義式からも想像される通り、正規分布と密接な関係がある。 これに加えて以下に示す通り、誤差関数は熱伝導方程式の解を記述する役割もあ る。 この性質から、誤差関数は熱境界層内の温度分布を簡便に計算する際にもよく登 場する関数である。
以下では、 に広がる半無限体を考える。 時刻 では内部の温度 であったが、時刻 では表面の温 度が に瞬間的に変化を加えたとし、その後の内部の温度変化を考える。 式で書くと、
(D.3) | |||
(D.4) |
である。 温度をしかるべく無次元化した量として、
(D.5) |
を導入する。 これを用いて方程式を書き直すと、
(D.6) | |||
(D.7) |
である。
熱伝導問題の性質を考慮すると、 はとの2つの変数に依存すると いうよりはむしろ、以下で定義されるの関数として書くほうが簡単になる。
(D.8) |
これは、時間 の間に拡散で熱が伝わる距離 と距離 との比 (の半分) という意味があることに注意。 これを用いて式(D.6)及び(D.7)を書き直そう。 ここで
であることを用いると、式(D.6)は
(D.9) |
となり、式(D.7)は
(D.10) |
と書き直せる。
式(D.9)を解いてみよう。 その際、まず と置いてやると
(D.11) |
これをで積分して
(D.12) |
を得る。 ここでは積分定数である。 これをもう一度で積分して
(D.13) |
を得る。 積分定数を決めるために、の極限をとって、
(D.14) |
であるが、よく知られたGauss積分の公式より
(D.15) |
であるから結局、
(D.16) |
を得る。
図5に誤差関数及び補誤差関数 のグラフを示しておく。