以下では簡単のため、Boussinesq 近似のもとでの基礎方程式を導出する。
解くべき方程式を
(B.1) | ||||
(B.2) | ||||
(B.3) | ||||
(B.4) | ||||
(B.5) |
とする。 ここでは単位テンソルである。 また上記から明らかなように、応力テンソルは対称テンソルであり、 である。 以下、ベクトルやテンソルは極力反変成分を使って書くことにする。
次に運動量保存の式(B.3)を考える。 そのうち応力テンソルの発散をどう書けばよいかを考えてみる。 応力テンソルを反変成分で書いてみて、その発散をとると、
(B.10) |
となる。 これも実は2階のテンソルの反変成分の共変導関数を求める手順と同じ。 これを代入すれば結局
(B.11) |
を得る。
最後に構成方程式(B.4)と(B.5)を考える。 まず、応力テンソルの反変成分を書き下すと、
(B.12) |
である。 次に歪速度テンソル(変形速度テンソル)の反変成分の表現を作ってみる と、
(B.13) |
を得る。 上式の内はベクトルの反変成分の共変導関数であり、反変1階、 共変1階の混合成分である。 それらと計量テンソルの反変成分との縮約をとることにより、2階のテンソル の反変成分を求めることができる。
見た目はややこしいが、これで一般座標系での基礎方程式が書けたことになる。
先に求めた一般座標系での表式に、正規直交曲線座標系の条件を加えて、式を簡 略化する。 共変基底ベクトルから正規化された局所直交基底を
(B.14) |
と定義する。 ここでは共変基底ベクトルの長さ である。 さらに、基底を用いて表示したベクトルやテンソルの成分を の如く、で表わすことにすると、これらと(一般座標系で 書いた)反変成分との関係は
(B.15) | ||||
(B.16) |
と与えられる。 即ち、正規化された局所直交基底での式を書き下す場合には、Christoffel記号 の書き直しに加え、ベクトルやテンソルの成分の表式も書き直 す必要がある。
まず質量保存の式は
(B.17) |
となる。 これはよくある、正規直交曲線座標系でのベクトル場の発散の式と同じ。
熱輸送方程式については、熱流束ベクトルのによる成分を
(B.18) |
と定義しておけば
(B.19) |
と与えられる。
次に 構成方程式のうち、応力テンソルの基底による表現は
(B.20) |
である。 次に歪速度テンソル(変形速度テンソル)の表現は
(B.21) |
最後に運動量保存の式を基底で書き直すと、
(B.22) |
となる。 これより方向の運動量保存の式は
ただし、応力テンソルの対称性 ()を用いた。 よって、
(B.23) |
、、 とする。 この場合 、、 となるので、これを代入して 整理すると以下のようになる。
熱輸送方程式系
質量保存則
歪速度テンソルの定義
偏差応力テンソルの定義
方向の運動方程式
方向の運動方程式
方向の運動方程式
、、 とする。 この場合 、、 となるので、これを代入して整理すると 以下のようになる。
熱輸送方程式系
質量保存則
歪速度テンソルの定義
偏差応力テンソルの定義
方向の運動方程式
方向の運動方程式
方向の運動方程式