研究室でできること

教員(楠橋)は主に古脊椎動物の研究をしています。 しかし,研究室では古脊椎動物に限らず,「地質 (主に地層)」と「」をキーワードとして,そのいずれか,あるいは両方に関連するテーマを自由に研究してもらいたいと思っています。詳しい研究テーマについては,いつでも説明しますので,気軽に連絡してください。

今年度 (2017年度) は 10 月後半に海外出張を予定しています。
課題研究・卒業研究の説明を希望する場合は 10 月前半までに来てください。

<< 地質学的研究 >>

主に野外での地質調査を通して,地球の歴史の一端を明らかにしようという研究です。 地層を対象とすることが多いですが,必ずしもそれだけに限るわけではありません。 卒業研究では,自分の目で見て,触れて,ハンマーで叩いて地道に調べることで,地層から何かを語ることを目標にします。 課題研究ではそのための基礎トレーニングを兼ねた研究に挑戦してもらいます。 とにかくハンマー片手に野外で地層と向き合いたい,そんな人を募集しています。

ただ,大変残念なことに,愛媛大学理学部では,卒業研究時の学生の野外調査に全日程教員が同行しなければならなくなりました。 そのため,以前の卒業研究でおこなわれていたような,長期間の地道な野外調査に基づく研究は事実上できなくなりました。 比較的狭い範囲であっても,その地域の地質を良く理解しようと思えば,かなりの時間をかけた調査が必要になります。 教員が同行可能な限られた日数の調査では,到底無理です。 ですから現状が続く限り愛媛大学理学部の卒業研究ではそういうことを目指した研究はできません。 卒業研究では野外に出て,少しは調査をしますが,むしろ野外で採って来た試料やデータを使って大学で作業することが主となります。 そのことは知っておいてください。

地質の研究は第一に地道で綿密な野外調査に基づくものであるべきです。 学部でそれができないのは勿体ないのですが,幸い今のところ,卒業研究でそれなりにトレーニングを積んでいれば,大学院では一人で思う存分調査に行くことができます。 地質の調査・研究に興味がある場合は,ぜひ大学院へ進学してください。

サンプリング主体とはいえ,野外での調査の多くにはなんといっても体力が必要となります (沢歩きができる程度の体力があれば大丈夫)。 また,岩相層序学や堆積学の基礎に加えて,地質調査用具の使い方,地形図の読み方,基本的な地質図学も理解しておいたほうが良いでしょう (絶対に理解できていなければならないわけではありませんが,その方が楽に研究を始められます)。 岩石学・鉱物学も理解しておくと,研究の幅が広がります。 各種調査用具 (特にハンマー・クリノメーター・ルーペ) は購入しておいてください。 それから3回生前期には「地球科学野外研究」の地質調査を選択してください (必ず履修していなければならないわけではありませんが,研究室配属の際に履修者を優先する場合があります)。 なお,野外調査にはある程度の経済力も必要となります。 野外調査では,旅費・食費をはじめ,場合によっては宿泊費など何かとお金がかかってしまいます。 個々の事情を考えながら調査地・テーマを相談して決めたいと思っていますが,経済的な負担も覚悟した上で当研究室を志望してください。

Field research
Field research
課題研究での野外調査の様子 (愛媛県久万高原町の新第三系久万層群: 左, 2009 年 11 月; 右, 2011 年 11 月)
Field research
卒業研究での野外調査の様子
(愛媛県東温市の新第三系石鎚層群: 2017 年 4 月)
<< 古生物学的研究 >>

教員 (楠橋) は主に古脊椎動物の研究をしているので,古生物と言っても古脊椎動物が主となります。 当研究室では従来,卒業研究では基本的に脊椎動物化石の研究はしない方針でした。 「化石を古生物学的見地から研究するためには,地層のことが分からなければならない」というのが研究室の基本スタンスだからです。 そのスタンスを変えるつもりはありません。 しかし上述のように,卒業研究でしっかりとした野外調査ができなくなってしまったこともあり,本当に希望するならば卒業研究でも脊椎動物化石の研究をしてもらうことにします。 ただし誰でもというわけではありません。 テーマがいくらでもあるわけではないので,やる気と能力を見たうえで検討します。 また,当研究室では恐竜の研究をおこなう予定はありませんので注意してください。 どうしても卒業研究時から脊椎動物化石の研究がしたいという場合は,鍔本先生に相談してください。

研究を始めるまでに,扱う古脊椎動物に関して十分な知識がなくても構いません。 ただ多くの場合,英語の文献を読むことができる能力は求められます (高校レベルの英語がわかれば全く問題ないはずです)。 また地質学の基礎知識はもっていたほうが良いでしょう。 卒業研究時に野外調査をおこなうことはあまりないと思いますが,野外にいかないからといってお金がかからないわけではありません。 文献収集や比較標本観察のため他機関を訪問する必要があるかもしれません。 経済的な負担は覚悟しておいてください。

大学院から当研究室で古脊椎動物の研究を希望する人も募集中です。 その場合は大学院受験前に相談してください。 卒業研究での研究分野は問いませんが,地質 (古生物含む) に関連する研究をしていることが望ましいです。

Fossil excavation
大学院生による鯨類化石発掘の様子
(北海道羽幌町の新第三系築別層: 2013 年 6 月)
<< 動物考古学に関連する研究 >> >> 現生魚類の骨格標本一覧

過去の脊椎動物に関連する研究は化石だけが対象ではありません。 当研究室では考古遺跡から出土した動物骨(特に魚骨)に関する研究も進めていこうと考えています。 出土した動物骨から,どんな動物がどのように捕えられどのように利用されたのかを明らかにすることを通して,過去の人の生活やと人と動物との関係を考えようという研究です。 この研究をおこなうためには現生動物の骨の観察が不可欠です。 これは脊椎動物化石の研究でも同じことですが,見つかった骨がどんな動物のどこの骨なのかがわからなければ,研究を始められないからです。 そこで,課題研究では特に現生動物の解剖・骨格標本作製や博物館での骨の観察に重点を置きます。 卒業研究時も同じことを続けながら,遺跡から出土した動物骨の観察と同定をおこないます。 自分の対象とする動物の骨をきちんと同定できるようになった上で大学院に進学した場合,発展的な研究に挑戦できる可能性があります。

この分野は化石を相手にするわけではありませんので,地質学的な野外調査のトレーニングは特に必要ありません。 またこの研究を始める段階では考古学や骨に関する知識がなくても構いません (もちろんあるに越したことはありません)。 ただしその分は自分で努力・勉強してもらいます。 なおこの研究でも,特に骨の観察のためにはある程度の経済的な負担は生じますので (遺跡・博物館訪問の旅費や骨格標本用魚類の購入費用など),そのことは了解しておいてください。 考古というよりも,とにかく現生魚類の骨を調べたいという人も大歓迎です。

Fish bones
課題研究での骨の勉強 (2011 年 11 月)
Hand picking
貝塚出土遺物の選別 (2012 年 2 月)
Hand picking
貝塚出土遺物の選別 (2016 年 3 月)

メンバー

教員
楠橋 直 (助教)
主な研究テーマ:中生代における哺乳類の進化
>> 研究紹介
大学院生
  • 博士前期課程
仲田光輝
地質学:愛媛県西部の三波川変成岩類中に見られる変斑糲岩岩体.
学部生
  • 卒業研究
廣中優舞
地質学:石鎚層群高野層 (中新統) の層序.
陣内香苗
古脊椎動物学
加藤賢典
魚類骨学
門谷明弘
地質学:白亜系蝦夷層群中に見られる "海緑石".
大西雄大
魚類骨学:大分県別府湾の海底堆積物に含まれる "イワシ類" の椎骨.
  • 課題研究

これまでの所属学生の研究

論文 (査読有)

越智真人間宮隆裕・楠橋 直. 2014. 四国の中新統久万層群層序の再検討:"下坂場峠層" と "富重層". 地質学雑誌 120: 165–179.

論文等 (査読無)

森元すみれ. 2016. 伊川津貝塚から出土した縄文時代晩期の魚骨の同定. 田原市博物館研究紀要 no.8 (田原の文化 no.42): 22–74.

学会発表

仲田光輝・楠橋 直・奈良正和. 2017 (9月). 愛媛県上浮穴郡久万高原町の三波川変成岩類中にみられる変斑れい岩体. 日本地質学会第124年学術大会, 愛媛県松山市. (ポスター).

松原尚志・安藤友一・楠橋直・山路 敦. 2017 (9月). 四国西部の古第三系ひわだ峠層の貝類化石年代. 日本地質学会第124年学術大会, 愛媛県松山市. (口頭).

楠橋 直・安藤友一・松原尚志・奈良正和・栗田裕司・山路 敦. 2017 (9月). 愛媛県中部の始新統ひわだ峠層の層序. 日本地質学会第124年学術大会, 愛媛県松山市. (口頭).

間宮隆裕・楠橋 直・一島啓人. 2015 (1月). 北海道北西部築別地域に分布する築別層 (中新統) から産出した鯨類化石. 日本古生物学会第164回例会, 愛知県豊橋市. (ポスター).

越智真人・楠橋 直. 2012 (9月). 愛媛県久万高原町と内子町に分布する "下坂場峠礫岩層" の層序学的位置. 日本地質学会第119年学術大会, 大阪府堺市. (ポスター).

受賞等

越智真人. 2015. 日本地質学会研究奨励賞 (越智真人間宮隆裕・楠橋 直. 2014. 四国の中新統久万層群層序の再検討:"下坂場峠層" と "富重層". 地質学雑誌 120: 165–179.).

修士論文

間宮隆裕. 2015 (2014年度). 北海道北西部築別地域に分布する築別層 (中新統) から産出したヒゲクジラ類化石.

越智真人. 2014 (2013年度). 四国中央部に分布する瀬戸内火山岩類の層序学的および火山地質学的研究.

卒業研究

大西雄大. 2017 (2017年度). 大分県別府湾の海底堆積物に含まれる "イワシ類" の椎骨.

工藤由香. 2017 (2016年度). 愛知県田原市伊川津貝塚 (縄文時代後期から晩期) から出土する魚骨の同定.

水村祐美. 2017 (2016年度). 真骨魚類の椎体の形態計測 ~考古遺跡から出土する魚骨の同定に向けて~.

村上雅啓. 2017 (2016年度). アオブダイ (Scarus ovifrons) の咽頭骨および前上顎骨・歯骨の形態.

仲田光輝. 2017 (2016年度). 愛媛県中部の始新統ひわだ峠層基底部にみられる変形岩礫.

浦林千春. 2017 (2016年度). 正真骨魚類における前鰓蓋骨・主鰓蓋骨・擬鎖骨形態の種間比較.

若田 諭. 2017 (2016年度). 現生真骨魚類の神経頭蓋-環椎関節部形態の種間比較.

安藤友一. 2016 (2015年度). 愛媛県久万高原町鴇田峠周辺の始新統ひわだ峠層.

杉野美和. 2015 (2014年度). マダイ (スズキ目タイ科) の骨学的記載: 顎骨と肩帯.

三神仁美. 2014 (2013年度). 現生魚類の脊椎骨測定~遺跡出土魚骨同定のための指標作成に向けて~.

榊山 匠. 2014 (2013年度). 兵庫県の下部白亜系篠山層群から産出したカエル類化石に見られる growth mark.

間宮隆裕. 2013 (2012年度). 愛媛県砥部町・久万高原町に分布する中新統久万層群の層序学的研究.

森元すみれ. 2013 (2012年度). 愛知県田原市伊川津貝塚から出土した縄文時代晩期の魚骨の同定.

越智真人. 2012 (2011年度). 愛媛県久万高原町と内子町に分布する "第三系" 下坂場峠礫岩層の層序.

小泉 翔. 2011 (2010年度). 近畿・中国地方に見られる下部白亜系赤色岩の岩石記載と比較.

課題研究

廣中優舞. 2017 (2016年度). 愛媛県, 中部中新統高野層 (石鎚層群) 最下部の凝灰岩.

陣内香苗. 2017 (2016年度). 単弓類について.

加藤賢典. 2017 (2016年度). 釣った魚3種の骨の観察と比較.

門谷明弘. 2017 (2016年度). 始新統ひわだ峠層に見られる海緑石の分析.

工藤由香. 2016 (2015年度). マアジ (Trachurus japonicus) とマダイ (Pagrus major) の骨格比較.

水村祐美. 2016 (2015年度). マアジとカイワリの骨格.

村上雅啓. 2016 (2015年度). 魚類骨学:マアジ (Trachurus japonicus) とコイ (Cyprinus carpio) の骨格観察.

仲田光輝. 2016 (2015年度). 愛媛県中部の始新統ひわだ峠層基底礫岩中に含まれる "謎の礫" の組成.

浦林千春. 2016 (2015年度). マアジとイボダイの骨格比較.

若田 諭. 2016 (2015年度). マアジ,カサゴ,クロメバルの骨格比較.

安藤友一. 2015 (2014年度). 愛媛県久万高原町二名に分布する始新統ひわだ峠層.

大西雄大. 2015 (2014年度). マアジ (アジ科マアジ属),アカカマス (カマス科カマス属),ソコイトヨリ (イトヨリダイ科イトヨリダイ属) の骨格比較.

杉野美和. 2014 (2013年度). マアジ (Trachurus japonicus) とカイワリ (Carangoides equula) の骨格比較.

三神仁美. 2013 (2012年度). マルアジ (Decapterus maruadsi),マアジ (Trachurus japonicus),クロメバル (Sebastes ventricosus) の骨格比較.

小名木海渡. 2013 (2012年度). 古流向推定におけるオリエンテーションの有効性.

榊山 匠. 2013 (2012年度). 両生類の骨組織を用いた年齢査定に関するレビュー.

間宮隆裕. 2012 (2011年度). 愛媛県久万高原町富重地域に分布する久万層群.

森元すみれ. 2012 (2011年度). マアジ (スズキ目アジ科) とマサバ (スズキ目サバ科) の骨格比較.

越智真人. 2011 (2010年度). 久万高原町東明神地域における久万川沿いの久万層群.

小泉 翔. 2010 (2009年度). 愛媛県久万高原町の久万層群の堆積環境.

卒業生進路

修士卒
建設コンサルタント
学部卒 (順不同)
大学院進学 (愛媛大学・他大学),農業,製材・木製品製造業,運輸業,卸売業,不動産業,学習塾,専門サービス業