この章の記述は [12] を参考にした。
固体地球をつくる1つの単位は鉱物の結晶である。 結晶はいくつかの結晶系に分類できる。 マントルの鉱物としては、オリビンは斜方晶系、リングウッダイト・ガーネット・ マグネシオウスタイトは立方晶系に属する。 ペロブスカイトはいろいろな結晶系に属しうるが、下部マントルでは斜方晶系の 構造が最も安定と考えられている。
それぞれの結晶系の中にも、原子の配置によっていろいろな結晶構造がありうる。 例えば、立方晶系には体心立方晶、面心立方晶や単純立方晶がある。 常温・常圧では鉄は体心立方晶をとるが、常圧・高温では面心立方晶となる。 また高圧では六方晶が安定となる。
結晶は単位格子が集まったものであるが、原子で作られる面の集まりとみること もできる。 このような1組の面の集合を結晶格子面という。 結晶ではこんな結晶格子面が多数存在する。 これを表したいときに使うのがミラー指数 (Miller index) である。 ミラー指数は の如く「丸括弧の中の3つの整数」で格子面を表わす。 ある結晶の結晶軸として 軸、軸、軸をとり、それぞれを、 、 の如きベクトルで表すことにしよう。 当然ながら任意の平面は、3つの整数 の組み合わせにより
のように表すことができる。 このように表される面を 面という。 同様に結晶の方位を表したい場合にも、3つの整数 の組み合わせにより
のように表される。 この方向を 方向という。
特定の結晶面の分子や結晶の向きがそろっていること(配向)を調べようとすると き、球の中心に試料を置き、その結晶面の法線ベクトルが球面を貫く位置に点を 打ち、その分布を球面上の等高線で表わしたもの。 配向状態を記述するには極点図を用いる。