初回は、講義とそれに付随する演習についての、全体的な概略を語る。
講義第1回: 座学編
テキストの「はじめに」の中身に則って、この講義・演習のキーワードである「コンピューター」「Linux」「Fortran 90」「データ処理」「数値シミュレーション」について、それらの意義を語る。
データ処理
- データ処理とは
- 生のデータを加工することにより、人間が「見て分かりやすい」情報に作り直してやること
- 安易な例は、グラフを描くこと、図にしてみること
- もう少し高尚な例は、講義・演習の中で順次出てくる
- データ処理の目的
- 情報の山の中から、自分の欲しい情報を取り出す
- 自分の主張に客観性 (=説得力) をもたせる
- おまけ: Benjamin Disraeli (1804〜1881; イギリスの政治家) の (ものとされる) 言葉
There are three kinds of lies: lies, damned lies, and statistics.
世の中には3つの嘘がある。一つは嘘、次に大嘘。そして統計である。
数値シミュレーション
- コンピューターの中で仮想的に行う実験
- 「観測」や「実験」の代用としての役割もある
- 観測できない場所での観測データが欲しいとき
- 実験ができない条件で実験してみたいとき
- おカネを (あまり) かけずに観測・実験してみたいとき
- もちろん地球科学でも重要
- 地球内部の極限状態での物質の性質
- 地球の内部での物質の動き
- 大気・海洋の動き、天気予報なんかも
コンピューター
- コンピューターとは?
- 読んで字の如く「計算機」
- 本来は、ごく単純な作業 (四則演算とか) しかできない
- その代わり、単純な作業は非常に高速にできる
- なぜコンピューターが必要か?
- 膨大な数のデータを扱う作業の手間を減らしたい
- 複雑な問題を解きたい
複雑な問題であっても、多数の「単純な問題」に分割してやれば、コンピューターに解かせることができるはず。
このような考え方がプログラミングに生かされている。
- コンピューターと地球科学の関わり
- コンピューターの進歩が地球科学の進歩にも貢献大
- 数値シミュレーション
- データ解析
- コンピューターの進歩が地球科学の進歩にも貢献大
Linux
- Linux とは?
- OS (オペレーティングシステム) の1つ
- OS (オペレーティングシステム) とは?
- コンピューターの「脳ミソ」と、作業する人間との間をとりもつ
- 人間から「命令」 (command; コマンド) を受けとり、コンピューターに渡す
- コンピューターから「結果」を受けとり、人間に返す
- コンピューターは OS がないとマトモに動かない。
- Windows も OS の一種。
携帯電話・スマートフォン・タブレット端末などでもそれ用の OS が動いている。 - 実は知らないうちに Linux を使っている場合も。
Android は Linux の一種。
(iPhone に入っている) iOS も (BSD 系 Unix がベースだから) Linux の遠い親戚、と言えないこともないかも。
- コンピューターの「脳ミソ」と、作業する人間との間をとりもつ
- なぜ Windows ではなく Linux ?
- free (自由、無料)
- (前身らしきものも含めれば) Windows よりも歴史が長い
- 理科的な計算 (データ処理・数値シミュレーション) がやりやすい
- おまけ: Windows 11 は、かなり Linux に「寄せて」きているねぇ
- PowerShell は Linux の bash とほとんど同じ
- WSL2 (Windows Subsystem for Linux) をインストールすれば、Windows 11 の中から Linux が使える (しかもインストールも超簡単)
Fortran
- Fortran とは?
- FORmula TRANslation の略。
- コンピューターに行わせる一続きの処理 (プログラム) を記述するための「言語」(プログラミング言語) の一種。
- なぜプログラミングが必要か?
- 人間からの指示をコンピューターに伝えるため
- コンピューターは「機械語」しか分からない
- 人間が「機械語」を話すのも難しい
- 人間からの指示をコンピューターに伝えるため
- Fortran の特徴
- 数式が書きやすい
- 科学技術の分野で長い歴史と実績がある (=過去の資産が多数ある)
地球内部ダイナミクス、地球物質科学、海洋物理学、気象学などの分野では Fortran で書かれたプログラムが強力な研究ツールになっている。